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職人の手で絹糸を組み上げた伊賀くみひもの粋と雅
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- バンドを自由自在に着け変えて楽しめるアップルウォッチ。今、さまざまな素材や色のアップルウォッチバンドが売られていますが、この「伊賀くみひもアップルウォッチバンド」は特別な一品です。職人の手で絹糸を緻密に組み上げたバンドなので、艶やかで美しく、趣があり、なおかつ腕に負担がかからない軽やかさを持ち合わせています。ビジネススタイルにも、カジュアルな普段着にも程よいアクセントとなるだけでなく、着物や浴衣を着てお出かけする際にもしっくりと似合います。
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どんな服装にも映える4色のアップルウォッチバンド
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- 今回、ご紹介するのは①黒色と灰色、白色を混ぜて組み上げた「伊賀くみひもアップルウォッチバンド 消炭」、②浅葱色に薄灰色と白色を利かせて組み上げた「伊賀くみひもアップルウォッチバンド 水浅葱」、③鮮やかな紅色と白色で組み上げた「伊賀くみひもアップルウォッチバンド 韓紅」、④濃淡の異なる山吹色で組み上げた「伊賀くみひもアップルウォッチバンド 山吹」の4商品です。いずれも個性的でありながら、衣服に合わせやすい色合いと幾何学模様なので、男女を問わずお使いいただけるでしょう。
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- 左:44mm 右:38mmのアップルウォッチに装着
- ご購入時にご希望のケースサイズ(38/40/41mmもしくは42/44/45mm)とアダプター色(シルバーもしくはブラック)をお選びいただけます。どちらのケースサイズをお選びいただいても、バンドの長さと幅は同じです。
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格調ある美しさと機能性をもたらす伝統の「高麗組」
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- 伊賀くみひもには組みの種類が多くあります。その中でもアップルウォッチバンド用に選んだのは「高麗組(こうらいぐみ)」です。これは伊賀くみひもを代表する組み方で、平坦ながら重厚感と格調があります。その異彩・超絶の手技の一部を動画でぜひご覧ください!
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- 左:絹糸で組んだ表面 右:ポリエステル糸で組んだ裏面
- 高麗組は表面と裏面の2層で構成するため、表裏の糸の種類を分けられるのが大きな特徴です。つまり表面に美しく艶やかな絹糸を使用し、裏面に耐久性の高いポリエステル糸を使用することが可能です。腕時計をはめていると、人は手首に汗をかきます。裏面にも絹糸を使用すると、汗で色落ちして衣服にその色が付着したり、染みになったりします。ポリエステル糸を使用すれば、汗をかいても色落ちせず、染みが生じても濡れ布巾で拭けばある程度は取り除くことができます。さらに組紐であればバックルの突棒を組み目に自在に突き刺してバンド装着時の径を調整できるので、穴を開ける必要がなく、表面の美しさを保ったまま使用できます。「伊賀くみひもアップルウォッチバンド」には美しさと機能性を兼ね備えた、伝統とモダンの融合が見られるのです。
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組紐と言えば、伊賀くみひも
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- 組紐とは絹糸や金銀糸などを用いて、組台で糸を斜めに交差させながら組み上げた細い帯状の紐のこと。真田紐などの織物とは違い、伸縮性に富むのが特徴です。日本には「江戸組紐(くみひも)」「京くみひも」「伊賀くみひも」の名で知られる三大産地がありますが、中でもトップシェアを誇るのが伊賀くみひもです。組紐技術は6世紀に仏教とともに中国・朝鮮半島から伝えられ、経典や袈裟などの結びに用いられたと言われます。正倉院に納められた楽器にも古代紐の飾り付けが残されています。平安時代には王朝貴族の装束に、鎌倉時代には武士の武具に、そして室町時代には茶道具の飾り紐などに用いられました。江戸時代に入ると刀剣の飾り紐としての需要が急増し、幕府から保護を受けた職人たちが技術を競い合い、組みの種類が増え、その粋と雅は隆盛を極めました。
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- 伊賀くみひもが本格的に発展したのは明治中期から。東京で組紐技術を習得した廣澤徳三郎が故郷の三重県伊賀市(旧・上野市)で工房を開いたのを機に、伊賀市は組紐産地として大きく発展し、伊賀くみひもは国の伝統的工芸品に指定されました。
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昭和初期に創業した松島組紐店
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- 現在、三重県伊賀市を中心に伊賀くみひもの工房や店舗が20軒ほど点在します。そのうちの1軒が昭和初期に創業した松島組紐店で、近隣の職人らと連携しながら、さまざまな種類の組紐を製造しています。高台(たかだい)、丸台(まるだい)、角台(かくだい)、綾竹台(あやたけだい)といった手組みのための伝統的な組み台を駆使して帯締めや羽織紐、根付紐などの和装小物をこしらえているほか、機械を用いて包装用や雑貨用の細い組紐も生産しています。
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- 「伊賀くみひもアップルウォッチバンド」を開発したのは、松島組紐店3代目の次男である松島康貴さんです。松島さんは子どもの頃からもの作りの仕事に携わりたいと思い、デザイン専門学校に入学しました。在学中に日本の伝統工芸を見つめ直す機会が増え、卒業後、京都のデザイン事務所で働いた後、家業に入りました。父から組紐技術を一から学びながら修行を3年積み、組紐作りを徐々に任されるようになりました。
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染色から組みまでを手作業で丹念に
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- 組紐は想像以上に多くの工程を経て出来上がります。白い絹糸を染色し、定着・乾燥させて巻き取り、太さと長さ、量を計算して調整し、撚りをかけ、組み台を使って手で組み上げます。組み作業までの準備に手間暇がかかるうえ、組み作業には高度な技術を要します。「1つの組み方を覚え、糸をきれいに組み上げるまでに1年くらい要しました。糸の扱い方や動かし方、力加減などに慣れが必要だからです。静電気が起きて絡まってしまうこともしばしばで、それを手で触って逐一元に戻さなければなりません。指先の繊細な感覚が大事なので、この仕事を始めてから手を怪我しないように気をつけるようになりました」と松島さんは話します。
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現代の暮らしの中で引き立つ組紐商品を開発したい
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- レクサス主催のプロジェクト「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2017」で試作した腕時計用ベルト(今回の販売商品ではありません)
- 松島組紐店の仕事のうち、和装小物以外の特別注文を担当している松島さんは、現代の暮らしの中で組紐がもっと引き立つ商品を作りたいと考えていました。そんな折、意と匠研究所の下川一哉もアドバイザーを務めた、レクサス主催のプロジェクト「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2017」で三重県の「匠」に選ばれ、新しい挑戦をする機会に恵まれました。そこで着目したのが腕時計用ベルトです。「組紐は着物や暮らしの道具などを引き立てるために使われてきました。単体では商品になりづらいのですが、いろいろなものに幅広く応用できる点が強みです。腕時計用ベルトであれば、より身近に感じられる装身具になるのではないかと挑戦しました」と松島さんは経緯を語ります。
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腕時計用ベルトからアップルウォッチバンドへと発展させる
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- しかし開発は一筋縄では行かず、特に両端の処理に苦心したと言います。通常、伊賀くみひもの両端はふさになっていることが多いのですが、腕時計用のベルトでは片方はパーツに取り付け、片方はすっきりと細くまとめて綴じなければならないからです。試行錯誤を繰り返して完成させた後、さらにアップルウォッチバンドへと発展させました。一般的な腕時計用ベルトであればオーダーメードになりますが、アップルウォッチバンドであれば既定パーツを用いるため、注文に素早く応じることができます。まさに出合うべくして出合った最適なアイテムと言えるでしょう。
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意と匠研究所がサポート
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- 意と匠研究所は、これまでも、これからも挑戦を続ける松島組紐店を応援していきます。ここでご紹介する商品の売り上げの約24%をいただき、松島組紐店の活動や商品について取材や原稿執筆、写真撮影、編集などを丁寧に行い、また新規開発に対してもアドバイスを適宜行っていきます。
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